幼稚園の体験学習でチドモ(馬車)に乗ったよ。町内を一周してわかったこと。

パギー(おはよう)、みどりやで。

昨日は幼稚園の体験学習の日。

園児たちはチドモ(cidomo)に乗って幼稚園の周りをグルリと一周したよ。

チドモとは、ロンボク島でまだまだ現役の庶民の乗り物として活躍している馬車のこと。

いつもはこんなふうに市場の前に並んでいることが多い。

食材を村で小売したり食堂を経営したりする人が大量に仕入れた食材を運ぶために待機しているんだ。

特に、朝はひっきりなしに市場から港までの1キロ少々を馬車が走っている。リゾートになっている離島のギリトラワンガン、ギリメノ、ギリアイルへ食材を運ぶのだ。

20年ほど前は一台に4頭の馬をつないでいたそうだけど、今は1頭だけ。

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そんなチドモ、子どもたちからの人気は高い。

娘もチドモが大好き。

ポコポコ揺られて気持ちがいいし、なんといってもお馬さんと一緒だもんね。

なので、娘だけでなく園児たちはこの体験学習の日を楽しみにしていた。

朝、平時通り7:30に幼稚園に集まると、いつも以上にワイワイ、そわそわした様子で並んで先生たちの話を聞く。

今日は参加費がかかり、子ども一人10000ルピア(130円程度)、保護者も一緒に乗りたければ同様に10000ルピア支払った。我が家は私と娘の二人で参加。

先生が、この支払い状況をもとに、保護者と園児たちをいい塩梅に振り分けて事前にグループを分けてくださった。私たちは7号車で子ども6人大人2人だ。

なぜか異様に時間のかかる班分け〜乗り込み。

どうやら今日になって申し込んだ人が相当数いて、チドモの台数が足りずに先生たちが大慌てで交渉に走っていたようだ。

このカオスっぷりを見ていると日本の幼稚園や小学校の遠足時の集合ぶりなどほとんど奇跡だ。うん、冗談ではなく、ほんとにそう思う。

だってさ、先生の挨拶など全くなしで、出発までに班分けと乗車だけに2時間もかかってるんだよ。

9時半にやっと出発。

▲園長先生と

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大通りではなく、田んぼの中の小径へと入り、のんびりと町役場へ向かう。

「ヤシの木だー」

「砂浜だー」

「田んぼだー」

「牛だー」

普段何度も見ている風景のはずなのに、友達と一緒でテンションがあがっているからか、大きな声で目に見えるものの名前を片っ端から大声で叫ぶ子どもたち。

12台にわたる馬車の合間合間には、馬車には乗らないけど子どもたちの様子が気になる親たちがバイクで列をなしている。

「ほら、村役場だよ」

「ガソリンスタンドだね。ここでは何をするのかな?」

先生たちから「保護者は先生のかわりに村で見えるものについて説明をして下さい」と依頼されていたが、誰も聞いてなんかない。説明やめ。笑

病院をぬけて交差点で左折、地震の際に集団避難地となった警察署の前をとおり、山の麓を右折。村落があり、村人が礼拝所の修繕をしていた。

小さな川があった。

へえ、こんなところに小川があるんだ。

仮設住宅も見えた。

雨季で随分と草が茂っている。中に人は住んでいるんだろうか。

キレイな花!

しばらく行くとさっと目の前が開けて見慣れた風景が広がった。

ああ、なるほど、この道へ出るのかぁ。

道の北に親戚がいるので北は何度も行っているが、南の集落には入ったことがなかった。

こんなふうなんだ〜と一人で興奮していたら、男の子の叫び声が響いた。

「海!!」

そう、この交差点を左折すれば港への大通り。

港のすぐ手前に幼稚園がある。

「幼稚園に帰ってきたよ!」

*

馬車から降りたら少し足元がフラついていた。

ほかのお母さんたちは、揺れが激しくて気持ちが悪いとこぼしていた。

私も、ビデオ撮影と何より子どもたちが落ちたり事故にあったりせずに楽しめるかに気遣いをしたことで気がつかなかったが、どうもかなりの揺れで思った以上に疲れたようだ。

先生が帽子とサングラスを持ってくるよう子供達に伝えていたが、あれは正しかったんだな。馬車に屋根はあるのに道路の照り返しなどで太陽を浴びて体のエネルギーが消耗している。

慌てて持参していたクッキーを食べて水を飲んだ。

娘は友達にお菓子を分けて、自分の分を取りっぱぐれてしまった。優しいねぇ。あとでパパにおやつ買ってもらおう。

子どもは子どもと、保護者は保護者と口々に今日の体験を振り返った。

「最後の集落、初めて見たわ」というと、ほかのお母さんも「私もよ」と言っていた。

馬車そのものが初体験だった親子もいた。

えー、ロンボク出身ではない私でも何度も馬車に乗ってるのにと思ったが、そうだ、日頃からバイクに乗っていれば馬車を使う機会がなくなるのかと合点した。

*

おおよそ30分ほどのミニミニ旅行。

だけど子どもたちはとても楽しそうにしていた。

私も新たな体験ができた。

知らない日常がたくさんある。

見たことのない景色が身近なところに詰まっている。

未知の世界は飛行機や船に乗って遠いところに行かなくても、こんなにも近くに溢れていることがわかった。

そういえば、小学生の頃に冒険と称して、家から土手を隔てただけの河川敷へ行ったよなぁ。

いつもと違う乗り物に乗ること。

いつもは入らない小径を行くこと。

選択を変えさえすれば、いつでもどこでもワンダーランドが待っている。