【対処法】【話が長くて多い姑】サーちゃんラジオの聴き方

さっき、地震があった。
体感震度3ほどと大して大きくはないが、去年大きな地震を経験したために、心臓がバクバクッと鳴った。

インドネシアでは建物の構造上、地震があったら外に逃げるのが鉄則。
私たち家族も屋外に避難した。
今この記事も庭で書いている。

庭にいると、すぐ近くの簡易小屋にいる姑サーちゃん(以下、サーちゃん)にいろいろなことを頼まれる。

たった1時間ほどの間に、サーちゃんは

・娘へ→(サーちゃんの)隣に座りなさい
→じっとしなさい

・私へ→お惣菜買ってきて
→姪に電話して

・夫へ→お金ちょうだい
→水瓶に水をためておいて
→長男に安否確認の電話しなさい

と、幾つも命令/依頼をしたほか、ずーーーーっと何かの話をしている。

うるさいなぁと思いながら、私は惣菜を買いに行った。

*

ところで、今日の昼間、叔父の家へ行った。叔父の義母(お嫁さんの母親)が倒れたというので、サーちゃんと見舞いに行ったのだ。その席でも、サーちゃんは見舞いに行ったはずなのに自分の病気の話を延々としていた。

お見舞いに行って病人と全然関係のない話をするのは、こちらの人はよくやる。失礼には当たらないようだが、私からすると大丈夫なのかと心がソワソワする。叔母を見やると「いいのよ」という顔をした。

また別の日も、サーちゃんは次男坊の元嫁相手に話しまくっていた。次男坊が早く再婚したらいいのになどと言う。
いやいや、元嫁にそんな話するかと話に割って入ろうとしたら、これまた元嫁が「いいのよ」と目配せをしてきた。

私はこれまで何度もこんな場面に遭遇してきて、その度に聞き役になっている人に申し訳ないなぁと思っていた。

が、叔母をみていて、私ははっきりわかった。
彼女たちがサーちゃんの話を聞いていないことに。

もちろん、聞いているよ。
相槌も打ってるし、適当に返答もする。
でも、つけっぱなしのラジオのごとくサラサラとサーちゃんの声を聞き流しているのだ。

そういえば、長男嫁の兄弟がサーちゃんのことを「壊れたラジオ」と言っていた。そうだ、サーちゃんはラジオなんだ。

だから、気に入らなければ局を変えるなり、ラジオを消すなりすればいいのだ。

嫁といえども、全部が全部、私自身が疲れるほどに一生懸命聞かなくてもいい。

*

惣菜を買いに大通りへ出ると、私たちと同じように地震で外に出ている人たちがザワザワと話をしていた。いつもは車やバイクで賑やかだが、心なしか静かに思える。

みんなも地震が不安だったのだろうと観察していたら、屋台の前で小さな笑い声が聞こえた。少しホッとした。

惣菜を買うという形ではあったが、サーちゃんから離れてよかった、と思った。人々の顔を見て、私は落ち着いたし安心した。

帰宅して、今この記事を書きながらゆっくりと平常時の心が戻ってきた。

それとともに、サーちゃんの頭の中も少しずつ手に取れるようになった。

サーちゃんの脳内はパニック状態なんだ。
私も地震でビックリしたし心がざわついたけど、サーちゃんはそれ以上なんだ。

それを落ち着かせる術をサーちゃんは知らないのだ。
話し尽くすということ以外に。

そうか、そうだな。
それで命令口調になったりするんだな。

でもごめん。
私は全部聞いてあげられない。
今、私は自分の気持ちを整えたい。
それは、自分のためでもあり、さっきの地震で震えながら私にしがみついてきた娘のためでもある。

局を変えられないならラジオを切るしかない。

周りに「いいのよ」といって聞いてくれる人がいるのだから、その人たちにリスナー役は任せよう。いろんな人に甘えて助けてもらおう。

適材適所でいけばいいし、できないことは断っていい。

そのことがよくわかった、地震の夜だった。

(Midori Rahma Safitri)

※この記事は、noteに 2019年11月15日初出したものです(noteアカウント不調のため移動)