義姉の食事会でお金に対する大切な在り方を学んだ話

一か月ほど前の話。

義姉に、家で魚を焼くから家族みんなで食べにおいでと言われた。

義姉は夫の異母兄弟だ。しかし実の兄弟同然に、夫のことだけでなく私のことまでもよく気にかけてくれている。

そんな姉さんからの誘いなので、ワーイと二つ返事で、夫・娘と三人で義姉宅へと向かった。

着いて驚いたのは、魚の量!

大きなお盆にこんがり焼けた魚が山盛り用意してあった。

そして、魚の数に見合うだけの家族親族が続々とやってきた。

全部で9家族!

「姉さん、今日は何か特別な日だったの? 普段着で来ちゃったよ~」

申し訳なさそうな私に、義姉は笑った。

「ううん。前から兄弟で約束してたのよ。(地震で倒壊した)家の瓦礫がきれいに片付いて庭が広々としたら、その庭で魚を焼いてみんなで食べるって」

そう聞いて、やっと気が楽になった。

現金なもので、いったん気が緩んだら寛げて、おなかいっぱい魚を食べた。

みんなでごはんを食べるのは久しぶりだなぁ。

姉さんち、瓦礫が片付いてよかったなぁ。

これでやっと新しい家を建てる目途がたったなぁ。

ワイワイにぎやかに食べるみんなを見ながら、いろいろなことを思った。

おいしいごはんと嬉しい気持ちとで身も心も満たされて帰ってきた。

この食事会からちょうど一か月後に、市場で義妹に会った。

食事会を開いた義姉の一番下の妹だ。

私はその日義姉を探していたため、彼女に義姉の居場所を尋ねた。

姉さんならアリサンの集金に行っているよと彼女は答えた。

アリサンとは、インドネシア版・頼母子講のこと。

仲間と一緒に行う貯金のようなものだ。

みんなで毎日少しずつお金を貯めて、順番にお金を受け取れる。

全員同額のお金を受け取れるが、順番はくじ引きで決めることが多く、盛り上がるのだった。

義姉はその集金係になっていた。

今回のアリサンでは一人180万ルピア(約13,500円)が手に入るとのことだった。

義妹と私はしばらくアリサンの話をし、私はみどりもアリサンに参加すればいいよと誘われた。

「姉さんも今回のアリサンのお金で、この前の食事会を開いたんだよ」

え!

私は驚いた。

180万ルピアは、私たちにとってかなりまとまったお金だ。

ロンボク島のある西ヌサトゥンガラ州の一か月の法定最低賃金・197万ルピアとほぼ同じである。

えええええーーー。

そのお金で親族をたくさん呼んで食事会をしたの?

自分が一生懸命働いて貯めたお金を、みんなのために使ったの?

食事会をせずに、もしくは家族だけで小さくお祝いをして、残りはもっとたくさん家の再建費用に回すこともできたのに!

私は、なんだか負けた気がした。

勝ち負けではないことはもちろん承知している。

しかし、義姉は私のもっていないものを確かにもっていることがわかってしまった。

私なぞ、ちょっとお金が手に入ったら、すぐに買いたいもの買ってるで。

人のことを考えるったって、せいぜい夫と娘くらいやで。

みんなのためにこんなにたくさんの魚を買って、さばいて、焼いたり揚げたりして…。

義姉はどれだけの手間と時間とお金とをみんなに掛けたのだろう。

自分だけのためでなくみんなの幸せのために、惜しみなく様々なものを捧げた義姉。

こんなお金の使い方ができる義姉のことを、私は心底尊敬した。

彼女に幸あれ。

私は思わずそう願ったけれど、私が願わなくとも神様が義姉に良風を送り込むだろうことは、容易に想像できた。