一昨日の話。
幼稚園に登園し、娘・プーちゃんは、園長先生におはようの挨拶をしにいった。先生の横に一人の母親が座っていた。
先生は私たち親子を見て、その母親に「このプーちゃんだって大変だったのよ。でも今は幼稚園に来てるでしょ。だから大丈夫」と言った。
ん?
私は先生に顔を向けた。
先生は、子どもが幼稚園にいく前に毎朝ひどく泣いて嫌がる、と相談をうけているところだと教えてくれた。
あなたのところもそうだったわよね?
と同意を求められたので、過去形ではなく現在進行形だけどねと思いつつ、はいと答えた。
先生は、心配している母親に「プーちゃんなんて、何か月も幼稚園に来なくて家庭訪問までしたんだから」と笑いかけた。
幼稚園の始まる時刻になったので、私と娘はその場から離れた。その後、園長先生とその園児の母親がどういう話をしたのかは知らない。
でも、私は、いい気はしなかった。
*
その後、休み時間。
園長先生が廊下を歩きながら、園庭で遊ぶ子どもたちを見ていた。
プーちゃんの歓声をあげて友達と走り回っていた。
私の前にきたとき、先生は「プーちゃんもホントはいい子なのよねぇ」と私に向けてつぶやいた。
ニコニコしている。
私にはわかっているのよ、という顔に見えた。
頷いてほしいとでも?
私は先生を見た。
園長先生が日ごろから子どもたちのことを考え、愛情深く一生懸命に園を運営していることはよく知っていた。
まぁいいかと軽く微笑んで頷いておいた。
*
園長先生は私から遠ざかっていった。
ますますいい気はしなかった。
私が思ったことはこうだ。
「ホントもクソもねーわ。」
ホントはいい子ってなんや?
まるで今はいい子じゃないみたいじゃないか。
言っておくけどなぁ、プーちゃんは、ずっといい子やわ~~~!!!
海に向かって叫ぶ青春映画の登場人物よろしく、私は心のなかで大声で叫んだ。
プーちゃんは、先生や世間の「理想的な子」ではないよ。
それくらいわかってる。
幼稚園も二日に1回くらいのペースでしか行かないし、行ってもよく泣くし、そうかと思えば奇声を発するし、イスラームのお祈りもほとんど勉強していないし、床で寝そべって泳いでいる?ときもある。
だけど、いい子だよ。
ホントもウソもオモテもウラもウエもシタもなく、いい子だよ。
愛がいっぱいで、みんなにたくさん愛を与えてまわる子だよ。
天真爛漫でのびのびしていて、少し繊細なところがあるよ。
先生の目に、プーちゃんのどこが「問題」に見えているのか。
何が「ダメ」として映るのか。
ふん、うるさいわ。
私は先生の言葉を心の中へ入れないことにした。
(Midori Rahma Safitri)
※この記事は、noteに 2019年11月6日初出したものです(noteアカウント不調のため移動)
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