「ハーフである」ことで娘が感じるストレスを夫に代弁した話

こんにちは~。みどりやで。

娘がたびたび幼稚園へ行きたくないという。

よーく聞いてみたら、醜い子呼ばわりされていた。

ハーフで目立つもんね…。

自国にいる夫にはなかなか私たちの気持ちはわからないから、娘の気持ちを私がかわりに話したんだ。その一部始終をシェアするね。

ハーフのお子様の子育てに悩んでいる方や、海外にいて「日本人!」などと言われるストレスに疲れた人に読んでもらえたらと思うよ。

じゃ~、いってみよ~。

娘が幼稚園へ行きたくない理由

娘が幼稚園に行きたくない、大きな理由は二つ。

1.地震のトラウマで私と離れているのが怖い

2.幼稚園のほかの園児が怖い

私ははじめ、理由1しか理解していなかった。

娘が私に教えてくれていたのは、理由1だけだったからだ。

先生方にもそう伝えていた。

でも、それだけではなかった。

娘は年少組にいたころ、年長組の元気な男の子たちに

「プットリ、ジェレーッ」

と言われていた。

意味は、醜いプットリ。(プットリは娘の名前)

醜いアヒルの子、のイメージだ。

男の子たちは、容姿の違いをからかっていたのだ。

うちの娘に醜いだとぉぉぉ。

私が憤慨していると、娘はいつも、男の子たちを追いかけまわして反撃していた。

私は「おおー、強いなぁ。いいぞ、プーちゃん!」なんて思っていた。

あるとき、度が過ぎた男の子たちが4-5人で娘を囲んで叩いた。

娘はその場でうずくまった。

娘の友達が先生に伝えたが、先生は様子を見に来てはくれなかった。

忙しかったのか、よくある子ども同士のケンカだと思ったのかは知らない。

その日から、そんなことが何度かおこった。

私は事情がわかったので、休みたいと言った日は基本的に休ませていた。

夫も、事を荒たげたくない気持ちが手伝ってか、ほとんど何も言わずに幼稚園を休ませることに同意していた。

しかし、夫には娘は気分屋にみえたし、私も娘を甘やかしすぎだと感じていたようだ。

何度も欠席が続くと、理由も聞かずに「はぁ~。また行かないの?(行けよ)」と娘に白い目を向けた。

私は夫にもっとほかの言い方をしてほしいなと思っていた。

ついに娘は不登園状態になり、園長先生に事情を話しにいった。

「何か言われたり攻撃されたりすることを娘は嫌がり怖がっているので、当面休みます。今のところ、年長組の子が卒業するまでは登園の意思はないそうです」

先生はどう思ったかわからないが、「わかりました、また来たくなったら来てください」と言ってくださった。

年長の子たちに注意する、という言葉は聞けなかった。

そのまま数か月、娘は不登園をとおした。

娘の幼稚園復帰と、それでも行きたくない日

6月に年長組の子が卒園し、娘をいじめる子たちがいなくなった。

娘も年長組にあがり、7月の新学期のタイミングで幼稚園に復帰した。

それでも、娘はときどき「行きたくない」といった。

そのたびに娘は理由を教えてくれた。

他人が聞いたらとても小さなことに聞こえるような理由ばかりだ。

たとえば、今日は「(幼稚園のお友達のお母さんに)制服が汚れていると言われた。恥ずかしいから行きたくない」だった。

娘の制服は、洗濯時にほかの洗濯物の色がうつって、うすい赤い色が袖についていた。

それを指摘されたという。

「それくらいのこと!」

私には大変些細なことに思えた。

娘は涙をうかべて行きたくないと訴えた。

私は、娘の言葉に耳を傾けて傾けて傾けた。

何度聞いても、今日行きたくない理由は制服のことだった。

だけど、これまでのことも振り返り、私はある結論に至った。

娘は、疲れたのだ。

他人から自分自身について何かを言われることに対して。

醜いプットリと言われては追いかけ回していたけれど、本当は悲しくて悲しくてやりきれなかったんだ。

悲しみでいっぱいになったプットリの心は、制服の汚れを伝えただけでもストレスとして察知しているんだ。

わかったよ、プーちゃん、今までよく頑張ったよ。

もっと早く気づかなくてごめんね。

娘には幼稚園を休ませ、夫にも伝えた。

夫は「えぇ、(そんな他人の言葉)放っておけばいいのに」と言ったが、私の決意は固かった。

そのときは家事で手が離せなかったので、手短に「プーちゃんを咎めないでね」とだけ言い添えた。

娘の気持ちを夫に代弁した

家事をひと段落し終えてから、夫と話をした。

議題は、娘が幼稚園を休むことについて、だ。

はじめに、夫にこう切り出した。

あなたが、娘が幼稚園を休むことを好ましく思っていないことはわかっているよ。

それでも休ませてくれることには、とても助かっている。

でも、彼女が休んでいるのはちゃんと理由があるんだよ。

彼女はまだそれをうまく自分で言葉にできないから、かわりに私が伝えるね。

あのね、あなたは知らないと思うんだけど…。

私はね、歩いているだけで知らない人に声をかけられるんだよ。

「にほんじーん」って。

夫は少し顔をゆがめた。

「え、そんなことが…?」という表情だ。

やはり知らなかったのかと思いながら、私は続けた。

市場で「イブ!(女性への呼びかけ)」ではなく、「日本人!(ときに中国人、韓国人)」と呼ばれること。

いきなり、中国語/韓国語/日本語で「こんにちは」と言われること。

大きな声で言わなくても、「あれ誰?」「日本人だよ」とひそひそ話してること。

あなたは経験したことがないでしょ。

道を歩いていて、見知らぬ人に「ヘーイ、インドネシア人!」「ササッ人!」と言われたことある?

首を横に振る夫。

プットリは幼稚園でも近所でも、こんなふうに言われているんだよ。

ただ存在しているだけでね。

娘がどれだけ好奇の目にさらされていたか、夫は少し理解したと思う。

これだけでも伝えてよかったなと思った。

自分の妻と子が、ここでどう扱われているのかを知るいい機会だ。

誤解してほしくないのだけど、私は「ここで不当に扱われている!ロンボクの人ひどい!」というつもりは毛頭ない。

彼らは悪気はない。

単にフレンドリーだと思って声をかけていることも多い。

きっと、「私、みどりっていうんだ。名前で呼んでね」といえばそうしてくれるだろう。

みな、私たちが嫌がっていることを知らないだけ。

だから、知って、一緒に考えてほしいんだ。

どうすれば、ロンボクの中の人と外の人がお互いに気持ちよくやっていけるのか。

たぶん、幼稚園の友達はね、娘と仲良くなりたいんだと思うよ。

でもさ、いきなり「友達になろう」なんて言わないでしょ?

ついきっかけとして、ちょっかいをかけてしまうんだよね。

それがエスカレートして叩いたり小突いたりするの。

プットリは、その行き過ぎがイヤなの。

こういうことが何度もあったから、

「制服が汚れている」も、彼女は何か攻撃されたように感じるのよ。

夫は、ようやく様子がわかってきたようだ。

短くまとめたかったが、私の口からはたくさんの言葉が流れてくる。

私も伝えたい気持ちが強いんだな。

プーちゃんね、このあいだ、先生に告げ口したんだよ。

〇〇くんが「醜いプットリ」と言うことを。

先生は「放っておきなさい」と返したんだって。

私もね、さっき制服の話を聞いたときに思ったよ。

「そんなことで!」って。

でも「放っておけること」でも「そんなこと」でもないのよ。

プットリにとっては。

それを「放っておけ」「そんなこと」で片づける。

わかる?

彼女を何を思うか?

絶望するんだよ。

助けてもらえなかった。

守ってもらえなかった。

愛されてないんだ、パパやママは味方じゃないんだって思うんだよ。

そんな馬鹿なって思うかもしれない。

こんな小さなことでって思うかもしれない。

でも、そうなんだよ。

夫は何も言わなかったけど、ちゃんと聞いてくれた。

私たちにとっては単なる一言でも、そんな言葉を重ね重ね聞いてきたプットリには、心を刺されるような一言だということがシェアできた。

よかった、大きな一歩だ。

ありがとう。

▼家で楽しく遊ぶ娘

具体策について検討した

夫と、じゃあ、今後プットリが「幼稚園へ行きたくない」と言った場合、どう接すればいいかを話し合った。

・私たちはプットリの味方であると伝えること、態度でも示すこと。

もっと具体的には、以下のとおりだ。

・幼稚園に行かないことを頭ごなしに否定しない

・プットリが意見を主張したときは、意見と理由を「よく」聞く

・その意見や理由が私たちにとっては取るに足らないことだったり、道理にかなっていなかったりしても、彼女にとっては深刻なものであることを理解する

・もしもプットリが興味を示したら、私たちの経験をシェアする

・ハグする

経験のシェアとは、例えば、私も夫も言われたくないことを言われた経験がある。

そんなとき、私たちはどうしているのか。

何かイヤなことを言われたときの対処法。

心のドア前ので、それらの言葉の入室を拒否する方法。

ほかにも、私たちの経験から伝えられることを伝えるということだ。

あとは勝手に娘が自分で試行錯誤する。

それくらいの力はある。

私たちは「ま、ゆっくりやろうよ」と話をしめくくった。

これから…

娘との接し方は決めたけど、幼稚園や近所の人々とどう接するかを話し合わなかったことに、あとで気が付いた。

まぁ、いいや。それはまた今度。

私は自分の意思でここにいるけど、娘は「親の都合」につきあってここにいる。

しかも、好きでハーフに生まれてきたわけではない。

そりゃあ外見の違いを発端にしてあれこれ言われるのは、娘には納得いかないよね。

だからこそ、娘がハーフであることで受けるストレスや悲しみや悩みから、私たちは娘を守る。

今は守ることでいっぱいだけど、そのうちどうやってここでやっていくのかも、少しずつ教えることになるだろう。

時間はかかると思う。

だけど、いつか、娘がハーフであることの喜びを語ってくれたらうれしい。

みどり